世界的に広がっている教育法のひとつに「シュタイナー教育」があります。日本ではシュタイナー教育を実践している園が限られており、あまり馴染みがないかもしれません。しかし、この教育法の根本的な考え方は、子育ての参考になる部分が多く、家庭で取り入れられるエッセンスが詰まっています。
今回ご紹介するのは、このシュタイナー教育について書かれた「いちばん大事な『子育て』の順番」という本です。特に本書には、シュタイナー教育の園長先生が経験をもとに回答する形で育児のヒントが詰まっており、子育ての不安を和らげてくれる一冊になっています。
シュタイナー教育とは?
シュタイナー教育は、人生を7年ずつのサイクルに分け、それぞれの時期に必要なサポートを行う教育法です。親や先生が子どもを教え込むのではなく、子どもが自分の個性やペースに従って成長できるよう環境を整えることを大切にします。
特に乳幼児期は、自然に近い環境の中で安心して自由に過ごせるような環境を整えます。シュタイナー教育では、早期教育は必要なく、その子の成長に応じた「適時教育」が大切だと考えられています。
家庭で取り入れられるシュタイナー教育のエッセンス
シュタイナー教育は、家庭でもエッセンスを取り入れて、子どもに合った環境づくりに活用できます。特に私が実践しているポイントを2つご紹介します。
- ルールと境界を明確にする
シュタイナー教育では、自由に過ごせる範囲を明確にし、その中で安心して過ごせる環境を整えることが大切だとされています。そのため、家庭内でも「ルール」と「境界」をきちんと設定するよう心がけています。例えば、おもちゃには自然素材のものを使用し、テレビやスマホ、電子で動くおもちゃなどは、子どものクリエイティブ力を阻害するとされるため極力避けています。こうした環境づくりにより、子どもがのびのびと自由に想像力を発揮できるような工夫をしています。 - 親の行動を手本にする
シュタイナー教育の考え方では、親が率先して行動で示すことが、子どもにとって一番の学びになるとされています。例えば、親が自然と気持ちのよい挨拶を続けていると、子どもも自然に挨拶を覚えていきます。一方で「挨拶しなさい」と口だけで伝えるだけでは、タイミングや方法がわからず、戸惑ってしまう子も多いと感じます。子どもは親の鏡であるという考え方が、私にとっても非常に参考になっています。
シュタイナー教育の「7年ごとの成長段階」
シュタイナー教育では、子どもの成長を7年ごとに区切り、各段階で異なるサポートを重視しています。この本でも、その発達段階ごとにどのような対応が必要かについて説明されており、私自身もこの視点がとても参考になりました。
0〜7歳の時期は「身体の成長」を大切にし、赤ちゃんには無理に何かを与える必要はないとされます。赤ちゃんにとって、まずは体全体が「おもちゃ」であり、無理に多くのおもちゃを用意する必要はないのです。この考え方は、「常に何かさせないと!」と焦りを感じていた私にとって、心の支えにもなりました。
シュタイナー教育の経験則に基づくアドバイス
本書ではシュタイナー教育の園長先生が、経験則をベースに育児の疑問に回答する形で書かれています。そのため、どこか偏っていると感じる部分や、科学的な根拠に欠ける点もあるかもしれませんが、子育ての指針として多くの示唆が得られる内容です。
令和の時代にはそぐわないと感じる部分もありますが、必要に応じて良いところだけを取り入れる気持ちで読むと、とても参考になります。
まとめ
「いちばん大事な『子育て』の順番」は、シュタイナー教育のエッセンスを家庭で生かすためのヒントが詰まっています。すべてをそのまま実践する必要はありませんが、子どもの成長に合わせて環境を整えたいと思う方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
自分が実践したいと思う部分を気軽に取り入れることで、シュタイナー教育の良さを実感しながら、子どもとの生活を楽しめるかと思います。ぜひご一読ください。